画像形式変換ツール
ブラウザ上で完結する、複数画像の形式を一括変換するWebアプリケーション。
TECHNICAL STACK
- フロントエンド: HTML, CSS, JavaScript (フルスクラッチ)
- 主要技術: Canvas API, File API, Web Blob
- ライブラリ: JSZip.js
1. 課題と開発コンセプト
WebPへの変換や、スクリーンショット(PNG)のJPEG化など、画像形式の変換は頻繁に発生する作業です。しかし、専用ソフトウェアのインストールや、Webサービスへのファイルアップロードは手間がかかり、特に機密性の高い画像を外部サーバーに送信することにはプライバシー上の懸念がありました。
この課題に対し、サーバーにデータを送信せず、すべての処理がブラウザ内で完結することをコンセプトとしたツールを開発しました。これにより、高速かつセキュアな画像変換体験を提供することを目指しました。
2. 技術的特徴とアーキテクチャ
① クライアントサイド完結のアーキテクチャ
- プライバシー保護: ユーザーが選択した画像ファイルは外部サーバーに一切送信されません。File APIを用いてローカルでファイルを読み込み、処理結果もブラウザ内で生成するため、情報漏洩のリスクがありません。
- サーバーレス動作: バックエンドが不要なため、静的なWebサーバーにホスティングするだけで動作します。これにより、インフラコストを最小限に抑えることができます。
② Canvas APIによる画像形式変換
- 中核技術: 変換処理の心臓部にはCanvas APIを採用。選択された画像を一度非表示のCanvas要素に描画し、
canvas.toBlob()メソッドを利用して、指定されたMIMEタイプ(`image/png`, `image/jpeg` 등)のBlobオブジェクトとして出力します。 - 柔軟な対応: この手法により、ブラウザがサポートする任意の画像形式への変換を、JavaScriptのみで柔軟に実装することができました。
3. 主な機能と実装詳細
一括変換機能
複数の画像ファイルを一度に選択し、指定したフォーマットへ一括で変換可能。作業効率を大幅に向上させます。
ZIPファイルの入出力
JSZip.jsライブラリを活用し、画像が含まれたZIPファイルを直接読み込んで処理する機能と、変換後の全画像を単一のZIPファイルとして一括ダウンロードする機能の両方を実装しました。
対応フォーマット
Webで広く利用されているPNG, JPEG, WebPの3形式について、相互に変換が可能です。
プレビューと個別ダウンロード
変換後の画像は一覧でプレビュー表示され、結果を確認しながら必要なものだけを個別にダウンロードすることもできます。
動的なUI制御
ファイルが選択されるまで「一括変換」ボタンを無効化するなど、ユーザーの操作状況に応じてUIの状態を動的に変更し、誤操作を防ぐ設計にしています。
エラーハンドリング
対応していない拡張子のファイルが選択された場合や、ZIPファイルの解凍に失敗した場合に、エラーメッセージを分かりやすく表示します。
4. 成果と今後の展望
本プロジェクトを通じて、File API、Canvas API、Blobといった、ブラウザでバイナリデータを扱うためのモダンなWeb技術への理解を深めることができました。 特に、ユーザーのプライバシーと利便性を両立させるクライアントサイド完結のアプリケーション設計は、大きな学びとなりました。 今後は、リサイズや品質調整機能の追加、さらなる対応フォーマットの拡充などを検討していきたいと考えています。